歯のおはなし

雑考④

今回は、不幸にも再度の治療が必要になった場合、すなわち再根管治療について考える。

根管治療した歯に対して、ふたたび、根管治療が必要になってくる場合が多々ある。再治療にいたるまでの期間は、実にまちまちである。どうしてこうなったのか?を突き詰めると、失敗に至った原因とその改善点が見えてくるのである。

前回までに、根管内の機械的清掃・化学的洗浄いずれにおいても、根管内からすべての細菌を失活・除去させることは困難であり、残存した細菌が根管内に存在して、これが根尖病巣(炎症)の原因になることを記述した。残存した細菌がなんらかの方法で栄養補給を得て再び増殖し、根尖外に臨床症状を有するようになってくると、再根管治療が検討されるようになる。根管内に潜んでいた残存細菌を勢いづかせる栄養補給路がどこかに存在する(した)のである。それは歯冠側からの補給路(歯冠側漏洩)かもしれないし、根尖側からの補給路(根尖側漏洩)かもしれない。はたまた、歯に新たに発生した亀裂・破折線からの補給路かもしれないのである。いずれにしても、栄養補給路の存在で残存細菌が活性化⇒再根管治療の遠因となるのである。

つまり、根管の人工的な閉鎖が不十分になる⇒体液(栄養源)が根管内に滲入する⇒残存細菌の活性化・増殖⇒細菌(起炎物質)が根管外へ出る⇒炎症(↑)・臨床症状(↑)⇒再治療根管、という流れである。

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